土地や建物などの物件を所有する人に対して加算されるのが、いわゆる固定資産税です。
しかし、固定資産税に関しては具体的にいくらくらいかかるものなのか、詳しく理解していないという方も多いのではないでしょうか。
なかには、自身が払っている固定資産税すらも中途半端にしか把握していない方もいたりします。
しかし、それでは危険です。
今回は不動産を持つのであれば知っておきたい固定資産税について解説します。
特に、この記事では固定資産税がどのようなものなのかを説明するだけでなく、計算方法や納税方法についてもまとめます。
さらには固定資産税を節約する方法や滞納するリスクについてもまとめるので、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。
固定資産税とは
まず「固定資産税って何?」という方に向けて簡単に固定資産税についてまとめます。
そもそも固定資産税とはどのような税金なのかというと、所有する固定資産に対して課税される税金となります。
たとえば、夢のマイホームを手に入れるとなると、土地を購入して建物を建築するのが一般的な方法となります。
その場合、土地と建物を所有していると判断されるわけです。
国はそれら不動産に対して税金を課しており、それらの税金が主に固定資産税とよばれます。
ただし、固定資産税は会社や企業が導入している機械や備品、設備や機材なども対象となります。
そのため、固定資産税は主に2つのものに課されると覚えておくと安心です。
これら所有しているものごとに課税されるもの、それが固定資産税となります。
ただし、固定資産税は何に課税されるかによって税金も異なるため、次の項目でまとめる固定資産の計算方法についても併せて目を通しておきましょう。
固定資産税の決定方法とは
固定資産税は一律で課せられるのではなく、それぞれの固定資産が持つ評価額に標準税率をかけて求められます。
まずは以下の計算式を知り、当てはまる項目ごとに数字を入れて計算してみましょう。
・固定資産税=評価額×標準税率(1.4%)
以上の計算式で固定資産税を割り出せます。
評価額というのは土地や建物に対する課税標準額のことであり、それぞれの基準ごとに評価額も変わるのが特徴です。
なかでも土地の評価額は国が発表している「固定資産評価基準」にて調べられます。
その反面、建物の評価額は「再建築価格方式」にて計らなくてはなりません。
そこは税理士など税金のプロに相談するなどで算出してもらうことをおすすめします。
また、標準税率に関しても本来は1.4%が一般的ですが、自治体によっては1.5~1.6%に設定されているところもあります。
その場合は自身が居住している自治体の標準税率から割り出さなくてはならないため、こちらも税理士などに相談することをおすすめします。
これら固定資産税は条件によって課税標準額を軽減してくれる特例などもあるため、細かな条件ごとに計算しなくてはなりません。
たとえば、土地に関しては住宅用地が200m2以下の場合「小規模住宅用地」として課税標準額が1/6に軽減されます。
それ以外の住宅用地に関しても「一般住宅用地」として課税標準額が1/3に軽減されます。
仮に6,000万円の住宅用地が200m2だった場合、土地の固定資産税は以下のような計算式となるわけです。
・14万円(固定資産税)=6,000万円(課税標準額)÷6(特例)×1.4%(標準税率)
以上の計算式から土地の固定資産税が割り出されます。
建物にも同様に特例があり、建物の場合は2022年3月31日までの新築住宅に対して税額減額措置があります。
この特例を適用すれば、新築住宅にかかる固定資産税は戸建ての場合で3年間、集合住宅で5年間、1/2に減額されるのが特徴です。
仮に3,000万円の新築住宅だった場合、建物の固定資産税は以下のような計算式となります。
・21万円(固定資産税)=3,000万円(課税標準額)×1.4%(標準税率)÷2(特例)
以上の計算式から建物の固定資産税が割り出されます。
当然ながら、中古住宅には特例が適用されないため、固定資産税が変わってしまう点に注意しましょう。
これらも税理士など税金に強い専門家に相談することをおすすめします。
固定資産税の手続き・納税方法
ここまで固定資産税について学んできた方の中には「固定資産税はどのように払うの?」と思っている方もいるかもしれません。
固定資産税には、自分で申告する義務がありません。
本来、個人事業主などは確定申告をして所得税や住民税を確定させなくてはなりません。
しかし、固定資産税に関しては毎年4~6月中に納税通知書が送付されてきます。
これらは市区町村から納税義務者に送られるもので、納税義務者はそれら納税通知書に従って手続きするだけです。
ちなみに、納税方法については主に以下4つの方法があります。
自治体によっては対応していないこともあるのですが、以上4つの手続きで納税すれば固定資産税の支払いは完了となります。
納税方法は好きに選んで良いので、自身が支払いしやすい方法を選びましょう。
固定資産税を少しでも安く抑える方法とは?
固定資産税は物件の評価額によっても異なるのですが、大半の方は数万円~数十万円の支払いとなります。
これが多いか少ないかは人によって感覚が違うのですが、それでも節約できるのであれば節約したい方も多いはずです。
ここからはそれら固定資産税を少しでも安く抑える方法を詳しくまとめます。
1.減税制度を活用する
前述した内容にもあるように、固定資産税にはさまざまな特例が用意されています。
土地に対しても建物に対しても特例が用意されており、条件を満たす固定資産を所有している方であれば減税制度を活用できます。
たとえば、以下のようないろいろな減税制度があるので、条件を満たしていればどんどん適用しましょう。
減税制度 | 減税内容 |
住宅用地や新築住宅の減税 | ・土地の課税標準額が1/3~1/6%になる ・建物の固定資産税が1/2になる |
耐震改修促進税制の減税 | ・住宅の固定資産税が1/2になる |
バリアフリー改修促進税制の減税 | ・基準取得価額の7%相当が控除される ・基準取得価額の30%相当を償却できる |
グリーン投資減税 | ・住宅の固定資産税が1/3になる |
以上のように減税制度を活用すれば、大幅に固定資産税を安くできます。
住宅用地や新築住宅はもちろん、建築改修促進税制やバリアフリー改修促進税制など条件によって減税される金額が変わることあります。
その一方、グリーン投資減税のように別途で節税できる方法もあるわけです。
まずはこれら減税制度によって固定資産税の節約ができないかどうか考えてみましょう。
2.延滞税を阻止する
固定資産税に限らず、支払うべき税金を滞納していると延滞税というのが加算されてしまいます。
税務署によっては状況次第で滞納に関しても厳重注意で済ませてくれる場合があるのですが、悪質な滞納と判断された場合は延滞税が課せられます。
当然ながら、これら延滞税が加算されればされるほど支払うべき税金も増加するわけです。
だからこそ、少しでも固定資産税を安くしたいなら、期日までにきちんと支払うのが安全と言えます。
固定資産として評価される対象物や相場を調べておこう
固定資産は土地や建物など、それぞれ対象物ごとに評価額が決められています。
しかし、これに関しては自治体によって異なるということを前述しました。
たとえば、東京の土地と北海道の土地、沖縄の土地というのは当然ながら土地の評価額が大きく変わります。
単純に都会なのか田舎なのかでも土地の評価額が変わります。
そのため、自身が居住している土地における相場を調べておくことが重要です。
そうすれば地域一帯の相場が見えてくるため、より固定資産税も計算しやすくなります。
ただし、建物は物件によって評価額が変わるので、建物の評価額に関しては注意が必要です。
これらは新築住宅なのか中古住宅なのかでも変わりますし、長期優良住宅なのか一般住宅なのかでも変わります。
それらも含めて相場を知ることが重要です。
なお、土地も建物もその他の固定資産税もそうなのですが、これらは税理士に聞いてみるというのもおすすめです。
特に、地域密着型の税理士であれば、その地域に関する相場を把握している可能性が高いです。
自分で調べる方法もありますが、それでは負担も大きいので、専門家などに尋ねるのが確実といえるでしょう。
固定資産税を滞納する危険性
固定資産税は毎年通知が来るにも関わらず、ついつい滞納してしまう方もいます。
これに関しては一度の滞納くらいでは問題になることもありません。
誰でもうっかり滞納してしまうことは往々にしてあります。
しかし、通知を無視するなどの悪質な滞納に対しては、税務署も強気で対応してきます。
特に悪質だと判断されると延滞税が発生します。
延滞税は滞納の翌日から発生するもので、最初の1か月間は年利2~3%なのですが、1ヵ月を超過すると年利8~9%ほどにまで上がってしまいます。
つまり、先延ばしにすればするほど、延滞税が莫大なものとなっていくわけです。
延滞している場合、全額納付しないと財産差し押さえとなる可能性も出てきます。
一度でも財産差し押さえになると土地や建物を差し押さえられ、それらを売却したお金で税金の支払いを補填されてしまうわけです。
仮に土地や建物を売却しても足りない場合、自己負担でさらに納税しなくてはなりません。
税金の場合は支払い義務が一生残るものなので、自己破産して帳消しにすることも不可能です。
これらからもわかるように、固定資産税の滞納は絶対にやめましょう。
もし、どうしても支払いが難しい場合は早めに市区町村役場に相談しましょう。
もしくは、税務署に直接相談することで選べる手段を提示してくれるかもしれません。
まとめ
固定資産税は土地や建物の評価額に対して、年1.4%ほどかかる税金となります。
所有している不動産によって異なるため、厳密にいくらかどうかは提示できません。
そこは納税義務者ごとに違います。
ただし、土地と建物の評価額がわかれば、自身で計算可能です。
その一方、いくつかの特例もあって減税できる可能性もあるため、税理士などの専門家なども交えて試算してみましょう。