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住宅購入時の贈与税は非課税にできる!非課税にして無駄な出費を削減しよう!

近年、住宅購入資金を両親や祖父母から贈与してもらうという方もちらほら見かけます。

夢のマイホームを取得しようと思っても、やはり現金一括で購入できるという方は稀です。

特に、若い夫婦であれば、家を建てる際に住宅ローンを組んで数年数十年単位で返済していくというケースが多いでしょう。

両親や祖父母から援助してもらうという方がいてもおかしくありません。

ただし、住宅購入資金などを受け取った場合、贈与税がかかる可能性があります。

これら贈与税は文字通り、贈与の金額に応じて課税されるのが特徴です。

実際に数百万円~数千万円単位で贈与を受ける際、贈与税もそれなりの金額となります。

その一方、日本には贈与税を非課税にできる特例もあるため、活用しない手はありません。

今回は贈与税についてはもちろん、贈与税を非課税にできる特例について、わかりやすく解説します。

知っておきたい注意点などについても併せてまとめるので、ぜひ最後までお読みいただけると幸いです。

贈与税とは(簡潔に)

贈与税とは個人からの贈与によって財産を取得した際、その取得した財産に課税される税金のことをいいます。

つまり、住宅購入資金として両親や祖父母から財産を受け取った場合にかかるのが贈与税ということです。

贈与税は贈与を受けた際に発生するものなので、自身で確定申告して納税する必要があります。

贈与を非課税にできる「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」とは?

贈与税に限らず、税金というのは「できれば払いたくないもの」といえます。

ただ、実際に税金を払いたくないと思っていながら特例などの節税を知らず、損してしまっている方も少なくありません。

特に贈与税に関しては「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」というものが用意されています。

概要(現状の制度の期間や消費税が10%に上がった際の変化についても記載)

贈与税の特例である「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」では、条件に当てはまる贈与に対して最大3,000万円まで非課税となります。

これは節税効果として非常に大きく、節税を考えているのなら必ず活用したい制度です。

基礎控除110万円も加えると最大3,110万円まで非課税にできるため、住宅購入資金を贈与してもらう際はぜひ特例を適用しましょう。

ただし、これらの特例は契約の日時や住宅の性能によって税率が変わるため、以下の表も参考にしておきましょう。

▼消費税8%のケース

契約締結日省エネ等住宅省エネ等住宅以外
2015/1/1~2015/12/311,500万円1,000万円
2016/1/1~2020/3/311,200万円700万円
2020/4/1~2021/3/311,000万円500万円
2021/4/1~2021/12/31800万円300万円

▼消費税10%のケース

契約締結日省エネ等住宅省エネ等住宅以外
2019/4/1~2020/3/313,000万円2,500万円
2020/4/1~2021/3/311,500万円1,000万円
2021/4/1~2021/12/311,200万円700万円

贈与税の非課税は消費税が8%なのか10%なのかで、控除される金額も変わります。

そのため、以上の表で自身がどこに当てはまるのかも加味して計算する必要があります。

そこは契約する金融機関はもちろん税理士など税金のプロにも相談すると良いかもしれません。

人に関する条件

贈与税の特例を受けるには「人に関する条件」を知っておく必要があります。

以下、人に関して定められている条件なので、併せてご確認ください。

  1. 直系尊属(父母または祖父母)からの贈与を受けた人
  2. 贈与を受けた年に日本国内に住所がある人
  3. 贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の人
  4. 贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下の人
  5. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与された資金全額を充てる人
  6. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに入居する人または遅滞なく入居できる人
  7. 2009年~2014年の贈与税申告で特例を受けていない人
  8. 契約の相手が自身にとって特別の関係がある人でない人

住宅に関する条件

贈与税の特例を受けるには「住宅に関する条件」も知っておく必要があります。

以下、住宅に関して定められている条件なので、併せてご確認ください。

▼新築の場合

  1. 日本国内の居住用家屋である住宅
  2. 床面積が50m2以上240m2以下の住宅
  3. 床面積の半分以上を住居として使用する住宅

▼中古の場合(上記の他に次のいずれかを満たす必要あり)

  1. 完成後に使用されたことがない住宅
  2. 築20年以内の住宅(耐火建築物は築25年以内)
  3. 耐震基準への適合を証明する書類のある住宅
  4. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに耐震基準への適合を証明できる住宅

▼増改築の場合

  1. 日本国内の居住用家屋である物件
  2. 床面積が50m2以上240m2以下の物件
  3. 床面積の半分以上を住居として使用する物件
  4. 工事費が100万円以上で半分以上が住居部分の工事に充てられる物件
  5. 増改築は自身が所有かつ居住している物件であり工事内容を証明する書類がある物件

住宅購入時に贈与税がかかる場合の計算方法

では、具体的に住宅を取得した際にはどれくらいの贈与税がかかるのでしょうか。

まずは以下の課税価格・贈与税率・控除金額について見ておきましょう。

課税価格贈与税率控除金額
~200万円以下10%
~400万円以下15%10万円
~600万円以下20%30万円
~1,000万円以下30%90万円
~1,500万円以下40%190万円
~3,000万円以下45%265万円
~4,500万円以下50%415万円
4,500万円超~55%640万円

以上の表を計算式に当てはめることで簡単に税金を割り出せるので、ぜひ条件ごとに試算してみましょう。

計算式は以下の通りです。

・贈与税=課税価格(贈与財産-110万円)×贈与税率-控除金額

これらの計算式に当てはめれば意外と簡単に贈与税を試算できます。

仮に3,000万円の贈与財産がある場合と1,000万円の贈与財産がある場合、以上の計算式に当てはめると次のような贈与税となります。

・課税価格(3,000万円-110万円)×45%-265万円=1,035.5万円

・課税価格(1,000万円-110万円)×30%-90万円=177万円

このように数千万円単位で贈与がある場合、税金も大きく変わります。

実際には数百万円単位で贈与する方も多いので、贈与税に関しては数万円~数十万円で抑えられることも多いです。

しかし、贈与財産によっては高額になる方もいるので、両親や祖父母から住宅購入資金などを受け取る際には注意しましょう。

「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」の注意点

一見すると「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」は非常に便利なもののように思えます。

適用した方が良い場合がほとんどです。

しかし、注意しておかなければならないこともあるので、ここからはそれぞれの注意点についてもまとめます。

住宅ローン控除と併用するときは適用額に注意

住宅関連の控除で多くの方が適用しているもの、それが住宅ローン控除です。

これは住宅ローンを組んだ際、向こう10年間はローン残高の一部を控除できる特例です。

しかし、住宅ローン控除の対象には上限が設定されており、住宅ローンの借入額と住宅購入資金の贈与額の合計が物件価格を超える場合は一部のみ控除の対象外となってしまうのです。

そのため、もし贈与も受けつつ控除も受けたいということなら、適用額に注意しておかなくてはなりません。

贈与税が0円でも必ず申告が必要

贈与税は0円でも確定申告することが義務付けられています。

本来、無職やニートで所得税や住民税が発生しない場合やフリーターで一定以上の収入がない場合は確定申告する必要もありません。

しかし、贈与税に限っては必ず確定申告しなくてはなりません。

確定申告は毎年の2月1日~3月15日までに済ませておくようにしましょう。

資金援助は黙っていても発覚する

住宅購入資金に関しては「こっそりとあげるのではダメなの?」と思うかもしれません。

しかし、資金援助したことは黙っていてもバレてしまいます。

それだけでなく悪質な脱税だと判断された場合は追徴課税や重加算税など、余計に損をしてしまうことの方が多いです。

そのため、贈与する場合は必ず確定申告して税金を納めましょう。

贈与のタイミングによっては特例が適用されない

もし贈与税の特例を活用したいなら、贈与を受けるタイミングは居住する前にしなくてはなりません。

居住した後に資金援助を受けた場合は贈与税の特例も対象外となってしまいます。

そのため、贈与税の特例を適用したい場合は引っ越しの前に済ませておきましょう。

「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」を使用しないほうが節税できるケース

贈与税に限らず、税金にはそれぞれ節税の方法が用意されています。

しかし、なかには特例を使用しない方が節税できる場合もあるのです。

たとえば、贈与税ではなく相続税の特例を使用した方がお得になる場合もあります。

相続税の特例は「小規模宅地等の特例」とよばれ、一定の条件を満たす人が相続した場合に最大80%まで控除される特例となっています。

これら相続税の特例を活用した方が、むしろ贈与税の特例を活用するよりも節税効果が見込める場合もあるわけです。

そこは必ずしも贈与税の特例を使用した方がお得になるというわけではないので、ほかの特例も活用できないかどうか比較検討する必要があります。

非課税限度額以上に贈与を受けたいときはどうすれば良い?

贈与税の特例は大幅に節税できる制度ですが、非課税限度額以上に贈与を受けたいという場合もあるかもしれません。

その際は少し裏技のようなテクニックを駆使することで、より贈与を受けられる可能性が出てきます。

ここでは、非課税限度額以上に贈与を受ける方法について確認しておきましょう。

超えた分は贈与税を納める

そもそも非課税限度額以上に贈与を受けたいのなら、素直に贈与税を納めるという方法があります。

国としては税金さえ徴収できれば問題ないと判断するため、超過した分の贈与税をきちんと納めれば何も問題はありません。

当然ながら、税金さえきちんと納税するのなら、いくら住宅購入資金を贈与しても大丈夫です。

あらかじめ毎年110万円ずつ贈与を受けておく

贈与税に関しては基礎控除110万円が無条件で適用されるようになっています。

これは逆にいえば、毎年110万円ずつの贈与であれば税金もかからないことを意味します。

そのため、もし数百万円単位で贈与したいということなら、数年、十数年と分けて贈与するようにしましょう。

この方法であれば時間こそかかるものの、税金を一切かけずに贈与することも可能です。

相続時精算課税を選択する

条件次第では相続時精算課税という制度を活用するのもおすすめです。

相続時精算課税とは、両親や祖父母など直系尊属からの贈与について相続時にまとめて課税する制度となっています。

これらは贈与する直系尊属が60歳以上という条件付きであるものの、住宅購入資金に対しては年齢制限がありません。

それだけでなく非課税枠が2,500万円なので、通常の贈与税の非課税枠3,000万円と合算して5,500万円まで非課税にできるのです。

こちらの方法を活用すれば、2,500万円多く贈与可能です。

共有名義にする

住宅購入資金を直接受け取るとどうしても贈与税が発生してしまうため、場合によっては家の一部を共有名義にするという方法も良いかもしれません。

実際に両親や祖父母との共有名義にすれば、贈与とは認識されません。

両者の持ち物という判断が下されるため、そもそも贈与に概要しないわけです。

一方、家を取得する際に直系尊属が負担した金額の割合と違う割合で登記してしまうと、負担した金額と持分の差が贈与とみなされてしまいます。

そこは登記の際に注意してください。

住宅購入時に贈与以外で資金の援助を受ける方法

贈与以外の方法で資金援助を受けたい場合は前述の通り、両親や祖父母と共有名義にするという方法があります。

この方法なら贈与以外で実質的に援助を受けられるため、無駄に税金を支払う必要もなくなります。

それだけでなく直系尊属から本人に融資するという方法もおすすめです。

贈与は単にあげることを意味しますが、融資となると話が変わってきます。

実際に融資というかたちであれば贈与ではないため、贈与税の課税対象にもなりません。

しかし、融資をする際に「金利は0%」や「ある時払い」などにすると、明らかなる贈与と判断されてしまいます。

返済期限を設けて契約書を作成した上で、有利子で融資しましょう。

まとめ

住宅購入資金はすべて自分たちで貯金できれば良いのですが、さすがにそれは現実的ではありません。

実際に、両親や祖父母など直系尊属から資金援助を受ける方もいます。

しかし、その場合は贈与税がかかることを忘れてはなりません。

これら贈与税は条件次第で高額になることもあるので、しっかりと節税など対策を講じましょう。

特に贈与税には特例が用意されているので、贈与の際には特例を活用するのが良いでしょう。

その一方、贈与税の特例にも注意点があるため、この記事を読み直して賢く節税しましょう。