住宅ローンを組む際、きちんと返済できるか不安を覚える方も少なくありません。
安定した収入がある方であれば問題ないとはいわれるものの、いつ職を失うかわからない時代です。
完済できるかどうか心配になるのも不思議ではありません。
特に、契約者本人が亡くなったり働けなくなったりした場合、どうなってしまうのかと不安になってしまう方もいるかもしれません。
たしかに、多額の住宅ローンを抱えたまま収入減が絶たれてしまうと家族が路頭に迷うことになります。
そうした家族を直接的にも間接的にも守ることにつながるのが団体信用生命保険です。
今回の記事では住宅ローンを組む方にとって救世主となる団体信用生命保険について解説します。
そもそも近年ほとんどの金融機関では団体信用生命保険への加入が義務となっているため、そういった意味でも団体信用生命保険について知ることは重要です。
ぜひ、当記事で説明する内容を読んで、団体信用生命保険がどのようなものなのか把握しましょう。
団体信用生命保険はどんな保険?
初めて住宅ローンを組む方の中には「初めて団体信用生命保険というものを知った」という方も少なくないかもしれません。
たしかに、日常生活で団体信用生命保険に触れるということはあまりないため、知らなくても不思議ではありませんし、恥ずかしいことでもありません。
ただし、これから住宅ローンを借りるのなら、団体信用生命保険については最低限知っておいた方が安心です。
そもそも団体信用生命保険ってなに?
そもそも団体信用生命保険とはどういったものなのかというと、平たくいえば住宅ローンの契約者本人とその家族、そして金融機関を守るための保険です。
通常、団体信用生命保険では住宅ローンの契約者が死亡もしくは高度障害となった際に保険金が下りる仕組みとなっています。
保険金によって住宅ローン残高を肩代わりし、残された家族が路頭に迷わずに済むようにしてくれるわけです。
当然ながら、金融機関も保険金によって住宅ローンを回収できるため、双方によって有効な保険となります。
住宅ローンは10~30年という単位で支払っていく長期契約の借金となります。
そのため、返済中に契約者本人に万が一のことが発生することもあるわけです。
当然ながら、死亡や高度障害を負うという可能性も否めません。
だからこそ、団体信用生命保険に入っておくことで、より安心して完済まで突き進めるようにしておく必要があるのです。
団体信用生命保険の種類と保障内容
団体信用生命保険は提供している組織がそれぞれ違います。これら団体信用生命保険はどのような組織が提供しているかによって性質が異なるため、まずはそれぞれの種類について把握しておきましょう。
団体信用生命保険には主に以上の4つの種類があります。
多くの方は住宅ローンを組む際に金融機関を通して融資を受けるため、1つ目の一般金融機関団体信用生命保険に加入することが多いです。
ただし、フラット35などに加入する場合は機構団体信用生命保険に加入することが多くなります。
このように条件次第で加入する団体信用生命保険の種類が異なります。
保障内容によっても分類が変わるので注意しましょう。
団体信用生命保険は通常、契約者本人が死亡もしくは高度障害を負った際、保険金が下りる仕組みとなっています。
通常は団体信用生命保険とよばれ、多くの方が加入します。
しかし、団体信用生命保険によってはカバーしきれない疾病も存在します。
また、死亡の場合は保険金が下りますが、高度障害の場合は簡単に保険金が下りない場合もあります。
疾病としては重篤であっても保険金が下りないケースもあるため、三大疾病や八大疾病に備える必要もあるわけです。
三大疾病は「がん・脳卒中・急性心筋梗塞」など日本人が罹患しやすい病気のことであり、八大疾病はそれら三大疾病に「糖尿病・高血圧性疾患・肝硬変・慢性膵炎・慢性腎臓病」などの五大疾病が含まれた病気を意味します。
これらの病気は通常の団体信用生命保険ではカバーしきれないことも多いため、特約として保障範囲を広げた団体信用生命保険に加入する方も多いです。
そこに幅広く対応できるワイド団信などもあるため、将来を見据えて加入を検討しなくてはなりません。
団体信用生命保険で注意すべきポイント
団体信用生命保険は自分自身だけでなく家族の安全も守ってくれる保険ですが、注意しておかなくてはならないポイントもあります。
それが以下の3つです。
以上が団体信用生命保険で注意すべき点となります。
それぞれ確認していきましょう。
1.健康状態によっては審査に落ちることがある
団体信用生命保険は通常の保険と同様、原則としては健康な人しか加入が認められていません。
たとえば、すでにがんを罹患している方や脳卒中を罹患している方、急性心筋梗塞を罹患している方などが加入することはできません。
金融機関によっては例外もあるかもしれませんが、団体信用生命保険の多くは健康であるからこそ加入が認められています。
当然ながら、健康状態は自分で申告するわけですが、虚偽の申告をした場合は最悪のケースで契約違反とみなされます。
そうなれば保険金が下りないという事態にもなりかねないため、健康状態に関しては必ず正しいものを報告しなくてはなりません。
その報告によって審査が左右されるため、住宅ローンの契約と併せて契約者の健康状態についても確認しておく必要があります。
2.途中加入では特約が付けられないかも
団体信用生命保険には特約が付けられると前述しましたが、これらの特約は途中加入では認められていないことが多いです。
たとえば、実際に住宅ローンを組んで返済をある程度行った後「そろそろ特約を付けたい」と申し込んだとしても却下されるわけです。
後になってから特例だけを付けるということが認められていないため、団体信用生命保険に加入する際には特例が必要かどうかを精査しなくてはなりません。
自分が病気になりそうだと思うのなら、契約時に申し込んでおく必要があります。
その点には十分に注意しましょう。
3.保障範囲が限られることも
団体信用生命保険によっては保障範囲が限られることもあります。
通常、団体信用生命保険は死亡や高度障害を負った場合に保険金がおります。
しかし、保険金が下りるかどうかは意外にもシビアです。
場合によっては働けなくなったとしても高度障害として認められず、多額の住宅ローンだけが残るということもあります。
死亡のようにわかりやすい事例であれば判断しやすいものの、病気などはそれぞれの判断も異なります。
場合によっては「この事例では保険金が下りません」といわれることもあるため、保障範囲については必ず目を通しておいてください。
銀行系住宅ローンとフラット35の団体信用生命保険の違い
団体信用生命保険には、金融機関が提供している通常の団体信用生命保険と住宅金融支援機構&金融機関が提供しているフラット35の団体信用生命保険があります。
両者には加入の義務と保険料に違いがあります。
通常の金融機関は住宅ローンを組む際、団体信用生命保険への加入が必須とされています。
なかには例外もあるかもしれませんが、ほとんどの金融機関では団体信用生命保険への加入が審査項目の1つとされているわけです。
しかし、フラット35の住宅ローンを借りる際は、団体信用生命保険への加入が任意とされています。
団体信用生命保険の加入の義務があるかどうかに違いがあります。
保険料の負担も違います。
普通の金融機関においては保険料が毎月の返済額に含まれています。
一方、フラット35においては保険料を別途で負担しなくてはなりません。
これら保険料の支払いについても違いがあることは事前に知っておきたいところです。
団体信用生命保険を選ぶコツ
団体信用生命保険は前述の通り、通常団体信用生命保険と三大疾病特約付団体信用生命保険、八大疾病特約付団体信用生命保険、ワイド団信などがあります。
普通に住宅ローンを組むだけなら普通の団体信用生命保険で良いのですが、やはりどうしても不安や心配は付きものです。
特に、返済期間の長い住宅ローンを組むなら、団体信用生命保険をどう選ぶかはしっかりと比較検討しておきたいものです。
まず、それらどの団体信用生命保険を選ぶかについては契約者本人の健康状態に合わせて選ぶのがおすすめです。
現在健康そのもので病気も特になく、健康診断の数値もすべて正常ということなら、無理して団体信用生命保険に加入する必要もありません。
しかし、今後何かしらの病気になりそうということなら特約付団体信用生命保険を選ぶのが良いでしょう。
あくまでも病気に罹患するかどうかはその時になってみないとわかりませんが、永遠に健康でいられるとは限りません。
特に、年齢を重ねるごとに病気を罹患する確率は高くなるため、返済期間が長くなりそうな場合は特約付団体信用生命保険に加入しておいて損はありません。
どうしても保険料を節約したいということなら通常の団体信用生命保険で良いですが、安心安全を手に入れたいということなら特約付団体信用生命保険も選択肢に入れておきましょう。
独身の方であれば特に団体信用生命保険に入らなくても良いかもしれません。
団体信用生命保険は残された家族を守るという意味が強いため、独身で家を持つ方にとっては大して必要ない場合もあります。
今後のライフスタイルも加味して選ぶと失敗しにくいでしょう。
収入保障保険は団体信用生命保険の代わりになる?
団体信用生命保険と似た性質を持つ保険に収入保障保険などがあります。
収入保障保険とは保険金が一括で下りる保険とは異なり、毎月入る収入のように保険金を受け取れる保険をいいます。
団体信用生命保険は契約者が亡くなった場合や働けなくなった場合に一括で住宅ローン残高を肩代わりしてくれます。
しかし、それによって家は残るものの、その後の収入は自分たちで得なくてはなりません。
そこは団体信用生命保険だけではカバーしきれない面もあるでしょう。
一方、収入保障保険であれば毎月の収入のように保険金が入ってくるため、困窮することなく生活を続けていけます。
ただし、これら収入保障保険では住宅ローン残高の肩代わりができないため、今後も返済は続くことになります。
両者は似ているようで性質の異なる保険なので、どちらに加入すべきかはじっくり検討したいところです。
まとめ
住宅ローンを契約する際には、団体信用生命保険の加入が必須となっています。
例外としてフラット35など加入が任意となっている住宅ローンもありますが、民間の金融機関の多くは団体信用生命保険への加入を必須としています。
そのため、これから住宅ローンを借りるという方は団体信用生命保険がどのようなものなのかを把握しておかなくてはなりません。
ここでは団体信用生命保険について詳しくまとめましたが、実際に記事を読むだけでは見えてこないこともあります。
そのため、契約する金融機関と打ち合わせを重ねて、自分なりの答えを見つけていきましょう。