住まいには大きく分けて持ち家と賃貸がありますが、なかには「どちらの方がお得なの?」と思っている方もいるのではないでしょうか。
生涯住むことになる家だからこそ、どちらがお得なのかは知っておくことが重要です。
今回の記事では、賃貸と持ち家のメリット・デメリットを解説します。
住宅は、購入する年代で向き不向きも変わるので、そこはライフサイクルに合わせて選びたいところです。
世代ごとの家選びについても説明します。
これから家の取得を考えている方は、ぜひ参考にしていただけると幸いです。
賃貸のメリット・デメリット
まずは賃貸のメリット・デメリットを見ていきましょう。
賃貸のメリット
メリット1. | 転居がしやすい |
メリット2. | 自分で維持しなくていい |
メリット3. | 経済的負担を節約できる |
▼メリット1.引っ越しがしやすい
賃貸はあくまでも貸し借りという契約なので、好きなタイミングで転居できます。
長い人生、転職や転校によって引っ越しを余儀なくされることもあれば、近所との関係で引っ越しを選ぶこともあるかもしれません。
その際、特に制約もなく転居できるのは賃貸のメリットです。
▼メリット2.自分で維持しなくていい
賃貸は基本的に管理会社が点検や管理を行ってくれます。
そのため、自分でやることはほとんどありません。
物件によって共有部分の扱いが異なるものの、自室だけメンテナンスしておけばそのほかは管理会社に丸投げできます。
何か故障してもすぐに対応してもらえるため、地震や台風などの災害に遭っても安心して生活できるのがメリットとなります。
▼メリット3.経済的負担を節約できる
賃貸は家賃こそかかるものの、基本的に税金などはかかりません。
不動産を持つということは固定資産税を支払うことを意味する一方、賃貸は家賃だけ払っていれば済めるのです。
もちろん、そのほかにも固定費はあるものの経済的負担を節約できるのはメリットといえます。
賃貸のデメリット
デメリット1. | 選択肢が限定される |
デメリット2. | 増改築がしにくい |
デメリット3. | 半永久的に家賃がかかる |
デメリット4. | 入居の審査が厳しい |
▼デメリット1.選択肢が限定される
賃貸は大家さんなどと契約して住まわせてもらう形が原則となります。
そのため、物件の所有権は大家さんにあります。
当然ながら、物件は事前に建築されたものから選ばなくてはならないため、選択肢が限定されます。
自分に最適な構造や間取りかどうかは物件ごとに違いますし、必ずしも理想の部屋が空いているとは限りません。
そこがデメリットとなります。
▼デメリット2.増改築がしにくい
賃貸は大家さんに所有権があるため、好き勝手に増改築はできません。
「コンセントを増やしたい」「エアコンを取り付けたい」「クローゼットを広くしたい」などの要望は大家さんから許可を得なければならないわけです。
当然ながら、許可なくリフォームやリノベーションするのは契約違反となります。
自分好みに作り替えられないというのもデメリットです。
▼デメリット3.半永久的に家賃がかかる
賃貸は一定の段階まで支払えば終わりということはありません。
住み続ける限り家賃がかかります。
現役世代にとっては家賃もそこまで負担とならないものの、引退した世代にとってはなかなかハードです。
こればかりはどうしようもありませんが、生活が続く限り家賃の支払いも続くというのは肉体的・精神的に大変です。
そこもデメリットといえるでしょう。
▼デメリット4.入居の審査が厳しい
賃貸は入居の前に審査があります。
基本的に家賃の支払い能力がない人は審査も通りません。
毎月収入がある場合は安定性や継続性があると判断されますが、無職やニートの方だと審査は厳しいと覚悟しなくてはなりません。
滞納することなく家賃を支払える能力が求められることもデメリットの1つといえるかもしれません。
持ち家のメリット・デメリット
次に持ち家のメリット・デメリットを見ていきましょう。
持ち家のメリット
メリット1. | 選択肢が豊富にある |
メリット2. | 増改築がしやすい |
メリット3. | 完済が住めば楽になる |
メリット4. | 資産になる可能性がある |
▼メリット1.選択肢が豊富にある
持ち家はデザインも設備も自由自在です。
自分が購入する家が建売住宅なのか注文住宅なのかでも変わりますが、好きな物件を選べます。
もちろん、一から作るということであれば理想も詰め込み放題です。
まさに夢の城を作れるわけです。
選択肢が豊富なところは大きなメリットです。
▼メリット2.増改築がしやすい
持ち家は何をしようが自己責任です。
逆にいえばリフォームもリノベーションも自由自在となります。
ライフサイクルによって求められる家というのは異なるため、いずれは増改築が必要となることもあります。
その際、誰の許可もなく手を加えられるわけです。
維持していくにはそれなりのお金がかかるものの、それら増改築が自由にできるのもメリットとなります。
▼メリット3.完済が住めば楽になる
持ち家を選ぶ人の多くはこちらの理由から選択することが多いです。
事実、持ち家は住宅ローンさえ払い終われば、圧倒的に楽になります。
もちろん、物件も経年劣化によって老朽化が進むため、定期的な修繕は必要となるでしょう。
しかし、毎月の支払いがない分を貯金に回せるので、いざという時に対応しやすいはずです。
それらの点もメリットといえます。
▼メリット4.資産になる可能性がある
持ち家は、必ずしも高値で売れるとは限りません。
ただ、地価に優れている物件であれば、土地も建物も高額で手放せる可能性も出てきます。
それを老後の資金に割り当てても良いですし、平屋などへの住み替えに使用しても良いでしょう。
資産になる可能性があるのもメリットといえます。
持ち家のデメリット
デメリット1. | 転居がしにくい |
デメリット2. | 自分で維持しなくてはならない |
デメリット3. | 経済的負担が重圧となる |
▼デメリット1.転居がしにくい
持ち家はその場に家を購入してしまうため、そうそう転居はできなくなります。
一生住むと決めた場所であっても、人生には想定外のできごとがつきものです。
それこそ転職や転校が必要となる状況もあるでしょうし、近隣住民とのトラブルで引っ越さなくてはならない状況もあります。
単に周辺環境が合わず、転居を考えることもあるでしょう。
その際、なかなか自由に身動き取れないのは大きなデメリットとなるかもしれません。
▼デメリット2.自分で維持しなくてはならない
持ち家はすべて自分で維持しなくてはなりません。
外壁が古くなれば新しくしなければなりませんし、水回りが壊れたら専門業者に修理を任せなくてはなりません。
そのほか、家に関するすべてに自分で対応しなくてはならないのです。
それが良さでもあるものの、年齢を重ねれば重ねるほど自分で維持することがきつくなってきます。
それもデメリットです。
▼デメリット3.経済的負担が重圧となる
持ち家は数年数十年にわたる返済生活が待っており、途中で解約することもできません。
そのため、どうしても経済的負担が重圧となります。
それだけでなく、固定資産税もかかってきます。
定期的に必要となる修繕の費用なども捻出しなくてはならず、何かとお金のことで頭を抱えることになるかもしれません。
その点もデメリットとなるでしょう。
一生賃貸に住む場合かかる金額
ここからは一生賃貸に住む場合にかかる金額を見ていきましょう。
なお、ここでの条件は居住年数50年、家賃が月6~7万円(鹿児島県の3LDKの家賃相場)、駐車場が月1万円、入居料が家賃3ヵ月分、更新料が家賃1ヵ月分(2年に1回)を想定して計算します。
その場合、家賃6~7万円(利息含む)で50年住むとなると総額3,600~4,200万円となります。
そこに駐車場1万円が50年で600万円かかり、入居料が18~21万円、更新料が2年に1回で150~175万円かかる計算です。
それらを合計すると一生賃貸に住む場合、総額4,368~4,996万円となります。
あくまでもこれは鹿児島県の一般的な家賃相場から計算したものなので差異は出るものの、おおよそ4,000~5,000万円ほどかかると覚えておきたいです。
持ち家購入で一生にかかる金額
ここからは持ち家購入で一生にかかる金額を見ていきましょう。
ちなみに、ここでの条件は居住年数50年、返済が月6~7万円(返済期間は30年)、入居料に頭金や修繕積立金、維持費に税金や保険をはじめ改修や工事などもかかると想定して計算します。
その場合、返済6~7万円(利息含む)で30年支払うとなると総額2,160~2,520万円となります。
そこに入居料と維持費がかかるのですが、これらに関しては購入する物件によってまったく異なるものとなるため、厳密な計算はできません。
そのため、ここでは入居料が500~600万円、維持費が900~1,200万円(年間30~40万円)かかると仮定します。
それらを合計すると持ち家購入で一生にかかる金額は、総額3,560万円~4,320万円となります。
こちらも鹿児島県の一般的な住宅相場から計算したもので、誤差はあるでしょうが、おおよそ3,500~4,500万円ほどかかると覚えておきましょう。
年代別に見る賃貸と持ち家のおすすめ度
最後に年代別で賃貸と持ち家どちらがおすすめなのかをまとめます。
ここではおおまかなおすすめ度を星の数で紹介します。
20代の向き不向き
賃貸 | ★★★★★ |
持ち家 | ★☆☆☆☆ |
20代は収入が不安定な状況となりやすいため、持ち家より賃貸がおすすめです。
今後も転職などライフサイクルの変化が発生しやすい20代は家を購入するよりも部屋を契約した方が、自由に身動きも取れます。
何より多額の住宅ローンを抱えると選択肢が狭まるので、持ち家を考えるのはゆっくりで良いでしょう。
30代の向き不向き
賃貸 | ★★★★☆ |
持ち家 | ★★☆☆☆ |
30代は収入も安定してきて仕事にも勉強にも力が入るのですが、まだまだ持ち家より賃貸の方がおすすめといえます。
30代に入ると人生の指標も見えてきて、やりたいことも明確になります。
そのため、住宅ローンを契約してしまうとそれ自体が重荷になりがちです。
そこはまず賃貸で人生設計も慎重に考えつつ、持ち家の計画も徐々に考えていくのがおすすめです。
40代の向き不向き
賃貸 | ★★☆☆☆ |
持ち家 | ★★★★☆ |
40代は役職なども与えられ、いよいよ働き盛り本番となります。
この時期に差し掛かると独立なども考えはじめ、さらに人生の岐路も明確になります。
ただ、子供を持つならこの時期に入る前に考えなくてはならず、そのための家もどうすべきか考えなくてはなりません。
そうなるとやはり手狭な賃貸より持ち家が欲しいと思えることも多くなるかもしれません。
そのため、持ち家を中心に考えていくのが賢明です。
50代の向き不向き
賃貸 | ★☆☆☆☆ |
持ち家 | ★★★★★ |
50代はいよいよ老後なども見えてきて、余生をどのように送るべきか考えなくてはならない時期に入ります。
この時期は仕事も勉強も落ち着き、いよいよ隠居も視野に入ってくるでしょう。
そうなると賃貸はどうしても家賃が重荷となるため、持ち家の方が安心です。
そこは持ち家であれば平屋を選ぶなど、より生活をシンプルかつコンパクトにすることも可能です。
できれば老後を向かえるまでに住宅ローンなどは完済しておくほか、新しく住み替える際も退職金や貯蓄で賄えるようにしておきましょう。
まとめ
持ち家と賃貸はどちらもメリット・デメリットがあり、一口に「こちらがおすすめ」というのは言えません。
賃貸には賃貸の、持ち家には持ち家の利点と欠点があります。
お得かどうかも物件の条件次第なので、厳密に計算するのは難しいです。
ただ、同じ条件であれば賃貸より持ち家の方がお得になることもあります。
もし、これから家を取得するということなら、メリット・デメリットと自身のライフスタイルを比べ、見極めて判断しましょう。
加えて、年代ごとにどちらが向いているのかも考えて選ぶと失敗しないのではないでしょうか。
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